続、平凡より・・・・
「んでさぁー結局どうするわけ?」
機嫌よくピコピコとコントローラーを握りしめ向かってくる敵をなぎらう。
あぁ〜HPがレッドライン、満月草満月草うしっ!ほぼ全回復!さてとせん滅完了。
ひと段落して楔の神殿に戻りチラリと振り返るとソファにだらしなく寝転んで雑誌を見ていたあいつはニタリと意地の悪い表情を浮かべていた。
「なんのこと?」
あーやべアローがもうないや、買いに行かないと。
「天然たらし〜いやいや俺もがんばらないとな〜」
意味不明といいつつ俺が飲むために横置いてあった炭酸のペットボトルを投げつけた。
「あぶねぇ!!中見こぼれんだろ」
チッ、こぼれればよかったのに
お前バカだなといいつつ俺が投げたものを床に置いたのにイラッとしたのでもう一本の方も投げつけてやりました。
大人の余裕まじでウザし。
ギィヤーと悲鳴をあげて蓋をしてなかった炭酸を浴びることになったのは俺のせいじゃないと思いまーす。
「あぁ〜お気に入りのブランドのシャツが!!」
どういう趣味で買うはめになったのかすごく気になる何とも言えない赤いソファーをから飛び起きてびっしょりと白いシャツに黒い液体がたっぷりとしみ込んでいてズボンにも広がっていきそうだ。
「ざまぁ、耀岩(ようがん)」
ふふん!広い部屋で誰に気兼ねなくゲームを大音量でできるというなんともうらやましい環境に住んでいるのだから、もっと俺に提供すべきなんだ。
幼馴染だからそこら辺はもっと融通してくれるべきだ。
むしろ1人部屋にしなかったコイツが悪い
まさに正義という名の鉄拳を食らわせた俺はよくやったと褒め称えてください。
ついでに死んでしまった俺もとい神殿騎士にだれか蘇生して〜オンライン仲間よ〜(泣)
「誰が称えるかぁ!!っ仮にも先生に向かってその言い草はなに!?」
つーか幼馴染に先生も何もない!!
それに、教室で遊びに来いと誘ったのはそっちでしょうが?
「・・・ちっこいのがうるせーからつい、望みはなく無理だぞって」
あれだけ学校でホスト先生演じてるからでしょうに。
「無駄にお色気ムンムン系にチャレンジするからそうなんだよ」
髪を茶色に染めて服はけばくないほどに派手でさりげなくシルバー系でアクセはまとめたりとTHEホストをがんばって演じているのには最初はびっくりしたが、
素とはまったくの正反対にした理由が理由だからまぁそれなりに成果は出ているようで本人はホッとしているみたいだが。
「そうしてりゃ抱いてとは言われても抱かせろとは言われないだろ」
現に今まで危険は回避できてたしと教室とは違って頬を膨らませてくる。
「かわいくないし、それに今日は何?面倒なことになったけど?」
人目のあるしかも教室で遊びこいなんて、目立ったんだけど?
「そうだけどさぁ〜、ほら牽制しとかないとまずいじゃん?」
オレそのためにここにいるわけだしとごにょごにょと喋る。
「かなり余計、でもまぁサンキュ助かった」
そういうともっと怒られると思っていた耀岩はほっとしたのかシャツを変えに寝室に向かろうとしたところに
「あっお菓子もよろしく、でチャラにしてやる」
そんなに簡単に許すと思ったんですか、甘い甘い
これ以上俺の機嫌を損ねたくないのか急いで俺に好物のぽてちを差し出してきた。
コンソメ、のり塩、うす塩、ちょっとした籠の中にいろいろな味がある中で自分的ベスト3を取り出す
しかし、耀岩は食べないはずなのになぜこんな?
「・・・ご機嫌とり用に」
なにお前の中で俺はそんなにキレやすい子になってんの?
たしかにキレやすい十代だけどね、だからって初めて来たのにご機嫌とり用ってなに俺はそんなに恐れられているわけ?
「ある意味ここじゃ一番こえぇ」
「あっそ以外に悪い気がしない」
族とかそういう関係ぽくてなんかかっこいい、悪いやつですよみたいで
「着替えてくるわ」
「まだ濡れたままだったの?」
「おまえが汚したんだろ!!」
「そういうこという?」
一緒にやろうと思って持ってきたコントローラーとゲーム数本を両手に装備してにっこりと笑ってみる。
「クリーニング出してきます。」
「しょうがない、10分以内ね、あとジュースもおかわり」
「・・・・・・なんで俺こき使われてるわけ」
「怒らした罰」
「昔からそういう奴ですよお前は」
しみじみそう呟いて寮の下のクリーニングに出しに行くために着替えて玄関に向かった耀岩の後ろ姿を見送る。
心なしか両肩が下がっているがいつものことだ。
いい加減、10年来の付き合いだから俺の扱いくらいわかりそうなもんだけど。
わざとなのか、いまだに馴染めていないようにも見える。
ただ無駄に気を使い過ぎるだけだろうけど、いくら約束とはいえ口約束なんだからもう少し気を楽にしたらいいのに、本人真面目だからいっても無理か
だんだん!ピンポーン!だんだん!ピンポーン!
クリーニングに行って帰ってきた直後、来客を伝えるインターフォンがけたたましく鳴り響いた、ときどき打撃音も混じってうるさい。
「だっ〜!!うるせいっ誰だ、ピンポンピンポン」
一回ならせば分かんだよ!俺様の機嫌損ねた大バカ野郎はどいつだ!!
まったりとしていたのを邪魔されたのがそんなに腹に立ったのか、鬼畜ホストモードに入った耀岩はちまっこだったらいじめて泣かしてやるっと意気込んで玄関に向かった。
いじめて泣かすのはちまっこ限定なんだ、と思わずつっこみそうになるのをあわてて飲み込んだ、あのモードになるとちょっとやそっとでは元に戻らないから下手に刺激したくない。
「一体なの・・・・・・・・・!!」
「「どこだ!!」」
何やら玄関が騒がしいな、やっぱりちみっこだったのかと思いからかい半分で見にいってみると
「ちぃ」
「千紘君」
白鳥と先輩がなぜかいた。
しかも息切らして放課後にも付き合えってやつですか、それはちょっと。
「どうしたんです?」
先生になんか用事でもあったんですか?
「「無事?」だったか?」
なにが?
「セクハラされてない?」
「どういう意味だ!このガキどもが!!」
いてぇーと頭を押さえつつこちらを睨む先生、そういえばガンッとかドサァとか音がしていたのはそのせい?
「・・・御迎えがきたのでかえります。」
まだ途中だったゲームに未練があるがこの2人がこのまま素直に帰ってくれるとは思わない。
それよりもさきほどから背後で青筋を立てている般若が恐ろしい。
滅多にキレない人がキレたらそりゃあ恐ろしいのなんのって正座で説教5時間はあたりまえその間痺れた足をつついたり、言葉で責めたりドSを発揮する。
いつもはヘタレ万歳なのに。
「えっ」
「なんっ」
文句をいう2人の背中を押してさっさと退場を促す。
最後はつい仕上げとばかりに白鳥の背中を拳で殴ったのは出来心です。
(八つあたりというか、いい加減にしろよてきに)
扉を閉めるときに“あとで覚えてろよ2人とも”と低い声で唸っていたのは俺に関係がないので別にどうでもいいんですけど。
・・・・ゲームはあとでメールして持ってきてもらおう。