春、桜が舞い散りそんな桜並木を見つつ通うであろう学校を見つめる。

新しい学年、新入生、これから訪れる出会いに胸をときめかせる季節。

そんな朝の初々しい光景を学校の校舎から笑みを浮かべる俺は



「・・・・空から美少女が落ちてこないかなー」

とどこにでもいる夢見る普通の高校生。



「こんな危ないやつが普通だったら俺はこえーよ」



「何を言うか!低くも高くもない身長、顔はどちらかといえば中の中、髪は染めたことのない艶やかな黒髪、これぞ平凡!まさにパーフェクト!!」

もはやこの身に起きることは電○文庫でお馴染みの展開意外ありえない!そうハーレム!!ロリ、幼馴染、年上、もしくは人外でも一様に可愛いもしくは美しい。

むしろそれ以外受け付けません!!!





「外見じゃないしー発した言葉がヤバすぎるんですー」

それに何、空からってまじでないわーといきなり出てきて人のことを全否定してくる。

慣れてきたからいいがクラスメイトのぶんざいで主人公に楯突くとは正直まじでウザイ



「んだよ、美少女との非日常な出会いから芽生える恋、恋、恋作戦のイメージトレーニングを邪魔すんなよ」

「いやいや無理、お前が女に好かれる要素は皆無だから、つーかもてたことあんの?」

 つーかイメトレといった時点でもてねーぞと何気ない一言に内心HPはレッドラインぎりぎり。

「失礼だな、俺にだって一度なりしもあったこともないこともないぞ!!」

「ないこともないぞって・・・ふーんそうかぁ」

人が暗い中学時代を思い出して落ち込んでるときになににやにやしてんだこの野郎!!

「笑うなバカもの」

「いやいやまさかぁちぃに彼女がいないと思わなくてさぁ〜」

文句を言っても笑みは消えずにほっとした表情ものぞかせている。

(は〜は〜ん!)

「ふっそうだなお前には無理だろうな」

「はぁ?」







「このリア充めが!!」





「・・・・・・りあじゅ?」

「男子校でありながらもてる奴に可愛い女子はわたさん」

俺の嫁候補がこんなもて男にもって行かれるなんてあってはならない!

「いやいや持っていかねーし、むしろ行かせねーよ、それにもて男っていい加減名前覚えようぜ」



もて男で十分むしろ俺が欲しいくらいだわ!!

しかしなぜ人の心の中が分かったんだ?



「全部口に出してたけど?」

まじで?


「うん、まじで」


気をつけよう。

じゃないと俺痛い人みたいじゃねー?

バカみたいじゃん、嫁逃げるよね。


「うん、後半はともかく前半はそうしたほうがいいよー」

「お前は黙ればいいよ本当に。」

「やだーつまんないじゃん」



そんなくだらないやり取りをしているとこんなバカが気になるのかちらちらとこちらに視線が集まり始める。

イケメンはこれだから嫌いなんだ。

イケメンなだけでもだれからも特別扱い、世界中のイケメンよ死んでくれ!!

おっと本音がいかんいかん・・・・・・・・ふぅ、死ねばいいのに心の底から



「鳥、いいかげんあっちの視線がウザすぎてかなわないから戻れ、むしろ母親のおなかの中からやりなおしてこい、そしてフツメンになってしまえ」

「えぇーちぃひど・・・・・ぐえぇー・・・・ぃ」



俺の前に陣取っていた鳥が勢いあるサッカーボールに体を吹き飛ばされて見えなくなった。

イケメンの不幸おいしいです、はてなんでサッカーボール?

「本当、バカ鳥は前世からやり直せよまじでっ、ねー千紘君」



「要人先輩またきたんですかぁ?」

さすがサッカー部3年レギュラー、ただのボールが殺人ボールに変わるとは

「えぇーかなちゃんかもしくは要人でいいってば」

「いえまだ死にたくないので要人先輩で。」



要人先輩がきてからまたもや視線がこちらにビシビシ集まってきた。

鳥はあきらめたがイケメンだし、要人先輩は女子かぁ!といいたくなるほどの大きい瞳に猫毛のくりくりの髪、さらに小柄な体つき、まさしく俺の嫁の理想がここに!な感じ。

しかし神様は残酷だ

むしろなんの呪いなんだこんなに素敵な先輩なのに!

なぜなぜ M・E・N‘・Sなんだ!



「千紘くん?」

どうしたのと首をコテンと傾げて見てくる姿は大変可愛らしいです。

「本当?」

そういって抱きつきからの上目遣いに頬を赤らめるなんてパーフェクト!!

まじっ男じゃなかったら告って嫁にしたいくらいに犯罪的かわいらしさ。

もうそこいらへんのアイドルなら余裕で先輩勝っちゃうなー。

アイドルになればいいのに。

はっそうしたら先輩のプリティスマイルが見れないぞ、これは由々しき事態だ、それにストーカーがどっさりそれはいけない先輩は俺が守らねば。



「ち、千紘くんだーすき!!もうなにこの子無自覚さんめ」


やだな要人先輩まで人の心を読んで

正面から抱きつかれてスリスリされているけれど女子ではないのでドキドキはありません

ある意味いい匂いすぎて困ります。



それに無自覚なのは先輩でしょうに

「?なんで」

「なんでってそれは・・・・」



「ちょっと離れてくださいよ、ちぃが先輩のバカ力で死ぬじゃないですか。」

「触んないでよ、それにやだよー離れないもん」



抱きついていた先輩を無理やり引きはがそうとするが先輩も外見女子だか中身は男子。

ツンとした顔でアッカンベーと舌を出して鳥の力をものともせず涼しい顔をしていた。

意外に力の強い先輩にしがみつかれている俺の肩は今や感覚がヤベーす。



おいそこ顔を押さえてうずくまるな

こんなに俺が不幸に陥っているというのにちょっとは助けてやろうとは


・・・・・えっ鼻血が出そうなのか、そうかぁお大事に。



鳥と要人先輩とのやりとりが眩しすぎてけが人が続出中。

あれだねフツメンの俺はもう霞むというか存在してる?レベルな扱いかよ。



えっなにむしろ邪魔だって?このクラス俺に対して扱い酷くね!?

「ちぃ!ちぃも少しは嫌がれ」

ブロークンハート中な俺はいっそのことこのままふて寝てしまおうとしたところにバカ鳥が耳元で先輩と騒ぐためにできやしない。



「はぁー」

俺としては役得?感があるのだが(ほら将来訪れる嫁候補たちとの抱擁の予行練習のつもりだし、

抱き締めるのにフリーズして出来ないってありえないし)

せかされてはみたものの一向に動こうとはしない俺にしびれをきらした鳥が渾身の力をこめてついに先輩を引きかがすことができたはいいが勢いあまって2人して後ろの机にダイビングをかましてしまった。



「いったい!なにすんのさぁ!!」

「てぇー!あんたが離れないからでしょうが!!」

「まったくこの僕の顔に傷でもできたらどうするのさぁ」

「そうなんしりませーん、むしろ大した顔でもないのに大げさでしょう?」



二目にもみれない顔にでもなればいいじゃんと先輩にいけしゃあしゃあと言い放つ顔はじつに余裕たっぷりでさきほどの焦っていた顔とは180度違う。



(まじで巻き込むなよな〜)



楽しそうに口喧嘩を始めてしまった2人とも、先輩は今でいうツンデレ属性だから素直に話しかけたりできないらしくよく俺を出しにして鳥と喋る。

そう先輩は鳥が好きなのだ、まったくさっさと告白でもすればいいのだかしない。

できることといったら俺をあて馬に使う程度、もしかしてあれか!鳥からの告白を待っているとか!

素直じゃなさすぎるだろ。



白鳥も白鳥だけど

(あっバカ鳥は白鳥いう)

お互いに俺を使わないでいい加減素直になればいいものをそうすれば2人は両想い。

そして俺は超平凡ライフからの非凡へのプロローグが始まるというのに!!





なに怖がっているのか、お互いに好きならいいと思うがな。

だてに中学からここにいる俺はもはや男同志という偏見はなくなってしまった。

だって周りを見回しても野郎のカップルしかいないわけで、そんな中にいればおのずとこれが普通でしょ?な思考にジョブチェンジを果す。



ギャンギャンと痴話喧嘩を未だに繰り広げるバカップル

それに巻き込まれる俺

(平凡?んー巻き込まれ系平凡だね)

そんな日々を2人が付き合うまで続けられるのかと思うと





「はぁー贅沢はいわないからせめてこんなおれにご褒美として普通な彼女をください」



せつなそうな声で空を見上げながら神様にお願いしてしまうのはここ最近の日課になってしまった。





「気がついてないんだ?」

「そうだよいつもこんな感じ」

「ホントいい加減にすればいいのにね」





「「なんで自分だって気付かない」」



あんなにも露骨に態度にだしているというのにそれに気づかないどころかあて馬扱いにされているという勘違いまでしてしまっている。

後ろの2人がバチバチと火花を散らしながらお互いにののしりあっているのを見ているクラスメイト達は一様に自称平凡くんは平凡ではありえないと囁き合う。









  「おーい、新作ゲーム手に入ったぞ今日来るか?」

  「行きます先生!!大好き、愛してる〜」



  「「ああぁ〜!抜けがけ禁止!!!」」