平凡より非凡2 中編







「なんで呼ばれたか分かってるよね?」



いつもの通りに2人にバカップルさにうんざりしながら席に着いたときにチラリと見えた手紙にもしや神様が不憫に思ったのか人生で初めての‘机の中に手紙が!V事件が起こった。

(やっべぇー告白フラグじゃん!!)



ばれないように授業中にそっとそれを開封した。

パステルな青色にレースで縁取られて兎やリスが描かれているファンシーな封筒の中身はそれを裏切ることがなく、可愛らしい丸文字で“放課後 屋上でお待ちしています”と書かれていた。

そこに名前はなかったけれど気分は急上昇で早く放課後にならないかと授業も上の空だった。

明日香ちゃん似かな〜んーでも詩織ちゃん似でもいいかもなーんてスキップでもしそうなほど浮かれてた。



ふたりとも俺の嫁候補!つーか嫁←決定!!



そして

「なんで呼ばれたか分かってるよね?」

彼は不敵な笑みを浮かべていました。







鏡で身だしなみや髪型をチェックした数分前の俺を返して。

確かに可愛い顔の子たちがいたよ、でも男だよ、オ・ト・コ。


よく考えれば男子校の屋上に女子は来ないよね。



「くぅ〜これで女子ならハーレムENDなのに!!」


たしかに明日香ちゃんと同じくらい可愛い子達が5人、だが制服がここの学校でかつ学年は1年から3年とバリエーションにとんでいても嬉しくない。



「ちょっと無視しないくれるっ!」



少しトリップしていた俺に気に食わないのか顔をしかめて怒ってくる。


「なに一体」

といっても告白ではないなら要件は想像はつくけど



「白鳥君に近づかないでよ!」


ほらね、イケメンか、イケメンの傍に平凡野郎がいるなってやつか。

そんなに平凡は存在が邪魔なのか。



「ちょっと彼が優しいからっ得意げになって、なに少しでも脈あると思ってるわけずうずうしいよ」

「わかったけどね」



そう自分に言い聞かせなければせつなくてやっていられない、地味に涙が出そう。


「だからさっさと!!」

「あー俺じゃなくてそういう牽制は要人先輩に言った方がいいです。」

「3年生の?意味が?」

「えっだって2人俺を介して付き合う一歩手前ですし」



だから俺に言ったって意味ないわけとため息交じりに言う。




「うっそ!」

「お似合い!!」

「よく見かけたのはそういうこと!」

「応援したい」

「美男美女だね」




とかなりの高評価。

うんうんまぁそうだよね確かにそうなるよね、呼び出した俺をほっとおいてなにやら2人を応援する隊を発足しようという話になっていく。

和気あいあいと楽しそうに話しているその子たちに悪気はないのはわかっているけれど

とりあえず5人の中でリーダーぽい子に



「だったら俺のポジション変わって!」

「ちょっ!なに!」

「分かるよ分かる!確かにお似合いだよ。だけどねそばにいる俺の身にもなって!」

「馴れ馴れしくしないでっ・・・」





「毎日だよ毎日、俺を囲んでのやきもち合戦!美男美女だよ確かにけどそれは傍から見てほほえましくても、傍にいるオレは辛いバカップル。だから言えないんだよ!さっさと告白しろって!あれで2人ともツンデレ、言ったらもっとこじれて面倒なのことにこれ本当!」





「自慢?」

本気でいってんのか!冗談は性別だけにしてくれ!!





「まさか!!ここずっと平日のお昼は勿論、放課後にもこっちに来るし、休日にやっと解放されたと思ったら、部屋にまで来てまた始めるんだぞ、寝ててもうるさくて部屋に招かないといけないしそれで俺は起きて永延と、こっちはイライラしてストレス溜まりっぱなしなんだよ!」





「「「「「・・・・・・・・」」」」」





「今日もさっきまでやってたのを無理やり巻いてきたのに、その俺に手紙で待ってるなんて甘い誘いしておいて結果これか!!平凡であるオレは2人の幸せの犠牲になれってか!!」

おまえなんかむしろそんな2人の踏み台になれることを光栄に思えってか!!





「ごめんね、紛らわしいことして」

「大変だったね」

「これでも食べて落ち着いて」



おずおずとかわいそうな目で差し出された、飴とクッキーを食べていると、もう1人がいつのまにか買ってくれたお茶で喉を潤した。



「ふむっクッキーの隠し味が絶妙でうまし!」

サクサクとしたココア生地にスライスされたアーモンドとカシューナッツところどころチョコが混ざっていて、そのあとに訪れる爽やかなオレンジがいいアクセントになっている。

「ほんとう?」

「うまうま!もうないの?」


あまりのおいしさに催促するように手を差し出してちょーだいポーズ、首をかしげてもキモイだけなのでそんなことはしませんよ。

そんなことをしても許されるのはかわいい女子だけです。



「んっあるよ!」



これなんか僕一押し!といいながら差し出されたマフィンはこれまた絶品でした。

ほろほろと口の中で崩れてまさに数少ない正統派マフィンだった。

ただ惜しむのはここに紅茶と生クリームまたはジャムがないくらいだ。

さすが男子高の女子系、細見の身体のどこに隠してあったのか出てくる出てくるお菓子達。しかもそれがみんな美味しいっていうのだからどこで買ってくるのか聞くとそれぞれ親や友達に送ってもらっているそうだ。

こんな全寮制の学校では確かにこんなにおいしいお菓子達は手に入らないだろう。

これもこれもともらっているうちに先程の険悪さはなくなり、まったりお菓子の評価に対する話になり。

そうしてなんでかわからないけれどそのまま、中庭のテラス席でスゥーツ談義もとい甘いもの大会と相成りました。

男なのにダイエットで食べられないというので数種類たのんでみんなで少しずつ食べることになりました。

そうすれば、色々楽しめるし、結果カロリーは抑えられつつ、気持ちは大満足なわけです。



「じゃぁまたお茶会しようね。」



次回の約束とケータイのメアド交換をして部屋に戻る途中でふと我に返った。





あれっ?なんで呼び出されたんだっけ?



















ロレンのつぶやき
続くyo(ボソッ)