運命の人






運命の人







チュンチュンと小鳥たちがさえずいていた頃。
ヤミーが朝一で出た。結構強いやつだたので、てこずってしまい疲労困憊だ。

今日も副業が終わりであることを願うところだ。

副業って本業は何だ?ははははは…はぁ。



今いるところは埼スタだ。だれもいない。2人きりだ。
アンクがここを選んだのは、情報収集が静かなところでしたいのと、口には出さないが
この俺を休ませたいらしい。


俺は小さな声で「この天の邪鬼が・・・」と呟きながら、そういう所も可愛いなと心の中で思う。



当の本人俺ね!本当は疲れてなど一切ない。いたって元気だ。


だが、2人きりになるというにはこういう手段を使わねばならないのだ。

世界中で2人しかいないって感じ。

これをしてみたかったんだよね。

夜は2人っきりだけどね。

勘違いしないでよね!


でも、こんな理由でバイト休んで“でもヤミーは一応出たんだし、一応強かったし?”
知世子さん比奈ちゃんごめんなさい。


アンクに近寄ってiphoneとやらを覗き込もうとしたら「見たら殺すぞ」と言われ
“おおっ怖っ”な〜んちゃって。



怒った顔もス・テ・キなんて言ったら本当に殺されかねない。

ばれませんように。


なーむーってお仏壇の長谷川じゃないいんだから!


世界中回ってきた俺の経験、体験上アンクはツンデレだ。
でもいまだツンしか知らないし、見ていない。


他の奴らは知っているのかな?デレを・・・。800年前のアンクも知りたい。

知りたくて知りたくてどうしようもない。

知ってるグリードがいたら一発お見舞いしてやる。




これは独占欲だ。



俺は一人の人にこんな思い入れをしたことがない。初だ。それも強烈なやつだ。
もう誰にも見せないで、かごの中で飼っていたい。そんな気分だ。
しかも俺って実は腹黒だったりする。知ってた?



アンクはフェロモンの塊でできているのか?老若男女問わずだ。グリードもだ!

アンクを取り込もうと画策していたグリードを陰に誘い込み、滅多殺しをしたことだってある。


若い男の場合はとりあえずぶちのめす。


女の子の場合だってそうだ。


女の子がアンクのあの容姿に惹かれて声を掛けそうになったとき、すかさず俺が回り込み「君が前から好きだった」と嘘を吐き、
“おれもまあまあな容姿だからな”ホイホイついてきて捨てた事の数たるや・・・


両手では足りない。




老人の場合は嘘を並べたて老人ホーム、遠い老人ホームに自らの金で入れさせる。
老人には優しいんだ。俺は。

まあ俺も立派なストーカーだがな。あれもこれもアンクにバレテない。
最高さすが俺!でもちょっとは罪悪感はあるよ。ごめんなさいって感じ。
って考えが脱線してしまった。くだらないどうしようもない話にだ。



疲労困憊なんといい響きだ。

「なぁアンク疲れすぎた。肩貸してくれない?」

「お前、俺のこの状況見て分からないのか?」

「アンクは片肘付きながら、横になってiphoneとやらを見ている。」
「正解だ。お前は大の字になって寝てればいいだろう。そのためにここの人を
追いやったんだからな!分かってるのか!映司!!」

自分で暴露っちゃったよ。この人は。それに気づいてないし。


「映司!!」
「うん。わかってるよ。ごめんなさい。」
直球過ぎた。これではだめだ。そうだ。うさぎになればいい。どこかで聞いたんだ。
ウサギは淋しいと死んじゃうんだって。これだ。

「アンク。情報収集してるのも分かる。でも俺この先どうなるなか分からなくて実は不安なんだ。人の温もりが欲しい。今。肩だけでいいから貸してくれないか?」

「お生憎様。おれはグリードだ。人じゃない。だから無理だ。」

「なんだよアンク。比奈ちゃんのお兄ちゃんの体だろ!人じゃないか」


「・・・・・」


「半人間。半グリードだ。分かったか?!」
「人間だよ!」「人間じゃない!」「半分はあの刑事の体と半分は化け物のグリードの俺だ。どうだ?」

アンク比奈ちゃんのお兄さん、刑事さんの体のことすごく気にしてるんだな。
アンクはアンクなのに。もうアンクになってるのに。
ってこれはどうだ!!


「ハーゲンダッツ」

「フン、そんなもんで釣られると思ってるのか?ドルチェだ!しかも期間限定苺のミルフィーユだ。」


「いいよ。」「明日のパンツと少しのお金で生きて行けるっていったやつが!」

「何で知ってるの?俺あの時にしか言ってないのに・・・」

「ちっ。うるせー肩かしてやるよ。でもドルチェだぞ。ドルチェ。」

かわされた。ってことはあそこにアンクもいたってことだよねぇ〜。
オレの事見てたんだ〜。すっごく嬉しいかも。



「よいしょっと」「ははははは。アンクおばあちゃんみたいだよ〜」



「…肩貸してやらねーぞ」

「ドルチェ」

「うっ」

「ほらよっ」
「すみませ〜ん」

コテッ。あ〜気持ちいい〜


「ねえアンクなんでアイスが好きなの?」
「だ〜か〜ら前にもいったろ」
「「冷たくてうまいことだけはわかる」って」



「・・・・」



「分かってんっだたら聞くんじゃねぇ!」

「覚えてたんだけど、もう一度聞いてみたくて。だって食べ物なら何だってあるんだよ?」
「知世子さんのお店で出てる食事すごく美味しいじゃん」
「何がいけないのかなぁ〜」

「しゃべってないで寝ろ!」
「うん」