夏3






夏 3   







誰もいない。ぼそっと。

自分の笑い声であまり聞き取れなかったが心配した?


「ん?なんか言った?」

「別になんでもない。」

「そ?」

確実に心配したって言ったて確信したぞ!
耳赤いもん!


聞こえなかったふりでもしてあげよう。
でも超絶嬉しいんですけど・・・



「ってアイスキャンディちょっと溶けてるけど」

「しょうがねぇーもらってやるよ。」
“あれ?アイス大好きっ子がなぜ1本しか取らない?普通2本とるでしょ??

さては、俺のこと考えてくれたんだね。おれの分はいいのに”
こういうとこが、可愛いとこなんだよな。ん?なんかおかしくないか?今なんて思った?


まぁ、いいっか。


「アンク〜俺の分も食べていいよ。」
「アンクのために2本買ってきたんだから。」
「どうぞお召し上がりませませ〜アンク様〜(笑)」

アンクの目がきらきら輝いてる。
相当好きなんだな。アイスキャンディ。

 ムカッ。

まただ。この胸の痛みはいつ治ってくれるのだろう。
「本当だな?!」と、アンク。

おれの分の(最初からアンクのだったんだけど)アイスを渡した。




俺はというと、アンクのアイスを食べている所をつぶさに観察していた。
ここに来たのは、とても綺麗な夕日を見せるためだったのに俺ときたらアイスキャンディ
2本くらいで「うっ」っと・・・。まったく夕日どころではない。


アンクのアイスを食べている仕草がダイレクトに体の中心を熱く、焦がすような熱を持つ。
こんなはずはないのに。


付き合ってたことは何度かあったけれど、俺がSEXに対して淡泊すぎて別れた人もいた。


そりゃ、みんな女だよ。だから困ってるんだよ。
あんな口から生まれたんじゃないかと思う(グリードだから分からん)程の毒を吐くアンクに?何かの冗談だよな?!(笑)
おっ!俺って天才かも!分かっちゃたもんね。


これは何かのフェチなのだろう。
俺の葛藤なども知らず、やはり夏のアイスは美味しいし、アイスが足りなかったのか食べたら、
いらいらは少しましになった。


じゃあ、何にキレているんだ?

「映司 帰るぞ!」

はいはい、アンク様の仰せのままに・・・。



翌日、映司は女子高生がアイスを食べている所を陰でこっそりかなり怪しいが、
そこは置いといて、見つめていた。


昨日のようにならない。なぜだ?

「わかった!」

ついでかい声を出してしまった。それは棒アイスだからだ。
棒アイス・・・もう一度見たい(爆死)

その為には・・・
俺はその日のパンツと少しのお金だけ持っていればいいと思っていた。
しかしあることでバイトを決意。それはアイスだ。

「映司ありがとう。すっごく嬉しい。大好きだよ。」へへへ。

妄想だが、いいじゃないか妄想くらい。

素直なアンクが見てみたい。それで決意。



夜の一週間だが7時間労働で時給1200円いいバイトだ。
俺のパンツも買わなきゃいけないし=これ一応口実ですよ。
肉体労働とオーズでの戦いでは使う筋肉が違うのでかなり疲れた。


余談だがそこで一緒に働いていたおじさんとも仲良くなったのだ。
疲れに疲れたが、丁度よくヤミーも出てこなかったしできれば可愛いアンクを見たいが、
それはNOなので、ブスッとしながらも食べる、アンク大好きなアイスをいっぱい買ってあげたかったのだ。


約三か月分のたぶんアイスだ。


今度はちゃんとドライアイスが入っていますよ〜しかも2本だけじゃないし!
ちょっとリッチだもんね〜。
「リッチ〜リッチ〜ふふふんふ〜ん」


でもまた夜のバイト探さないと。


アンクを驚かせてやろうとクーラーボックスに入れてアンクのベッドの上に置いとくか、
隠しておいてアンクが帰ってきたら速効目隠しさせて俺たちの部屋で見せるか悩んだ。

結局は冷凍庫に入れて見せることに落ち着いた。

アンクは今日も不機嫌だ。アイスがないからだよねぇ〜!
いいときにアンクが帰ってきて

「アンク、アンクちょっと来て見て」

「何で俺の事呼んでんだよ。くだらない事だとただじゃ済まないからな!」


はいはい。分かってますよ。百も承知ですよ。