唇
唇 4
「まず、野菜ね!ちゃんと好き嫌い言わず食べるのね?!分かった?!」
「分かった。」
「野菜と豆腐キノコ類を取ってお肉もね。白菜のキムチを取って、汁をかける。それだけ。」
「この小さい入れ物にか?」
「そう。」
「簡単じゃねーかよ。何で指導されなきゃならなかったんだよ!言えばよかっただろうが!」
「だから今言ったでしょう?もうなんなんでしょう?この子は。でんぱちゃんなのかしら?天然なのかしら?」
「お前キモイぞ。」
「鍋はすべてこの器の中にバランスよく全部入れることが大事なの!!分かる?!!!」
「わ・・・わか・・った・・・・。」
「アンク。まぁ俺が取ってあげるから大丈夫だよ?」
「うん。」
「よし!!よそるぞ〜〜。グフッ。長ネギ・・・に・・しゅん・・・・ぎ・・くに。
は〜ぁ。豆腐に。・・・・お・・に・くに・・・しめじ。〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜。
しい・・たけと・・キムチ・・・と・・・・・・汁を〜〜〜〜かっ・・・かけて・・・・はい!!出来上がり〜〜ふぅ〜〜。」
―――――――――――チクタクチクタク――――――――――――――――――
やっとこさ。俺とアンクのが盛りつけあがりましたよ。なまちゃったよ。疲れすぎて。
でも映司は自分の分を1口くらいにしかよそらなかった。
ズルイ。
よっしゃぁ!!では。恒例の!!
「いただきますは?」
「お前ね〜〜毎回毎回五月蠅いんだよ!ちっ。(小声で)いただきます。」
「はい。よくできました。」
「いただきます。」
ちゃんとフーフーして食べてる。食べてる。この鍋?
人間じゃねぇ〜〜。って違うか!!
どんだけ香辛料使ってるんですか??!!!このキムチチゲに・・・。
1口食べたらプァ〜〜〜って天国に行きそうです。
いわゆる死ぬってことね!
天使が迎えにくるよ。ホント。
フランダースの犬的な?
あんなに苦悩を味わったことないけど俺さ。
マジ目痛いし?目赤くなってないかな〜〜?
しかもここの空気吸ってるってだけで喉がやられた。
俺戦闘とかでは強いけど・・・
これはムリッ!!!!!!!食べる前から。
でも、食べきってやるっ!!アンクの為にも。
俺のプライドの為にも!!!!
映司は両手で顔を2、3度叩いて気合いを入れた。
それを不思議に思ってアンクが問うた。
「どうした?映司?早く食べないのか?これ美味いぞ。」
パクパクパク。
「今までで一番かもな!!美味い。」
「よかったね〜〜〜〜〜(死)どんどん食べてね?」
「当たり前だ。これキムチチゲ?だっけ?美味過ぎるし、きっちり食べて1万円もらうんだからな!!」
「映司も見てないで早く食べろよ。」
「野菜大丈夫?」
「うん。何か分かんないけど食べられちゃう。」
「よかったね〜〜〜〜〜(死)よそろうか?」
言い方が可愛いな〜〜ちくしょ〜〜。
マジ俺も食べなきゃいけない雰囲気じゃないかよ〜〜〜〜。
まだ覚悟決めてないらしい。やっぱり怖いらしい。
男なのにアンクよりより一層ヘタレ街道まっしぐらな映司。
「いい。自分で取ってみたいし。早く食べないとなくなるぞ?」
お願いですから、なくなってくださ〜〜〜〜〜〜い(涙)
もうここまで来たら情けなさすぎて呆れる。
が、映司には必死なのは分かるが、覚悟を決めるとかプライドだとか言ってたわりには、往生際が悪すぎる。
昔の武士や戦火にいた人は切腹までやり遂げてプライドを保ったと言うのにこのざまは何なんだ?
優しい男が一番もてると言う女性アンケートで統計がでているのに、優しさなら食べてやるのが一番なのではないだろうか?
後、女性はよく食べる人が好きだといういうことも統計で分かっている。
その点、映司はまだ一口も口にしていない。
いつもならアンクが食が細いため、食べてあげていたことが多かった。
それが・・・・・・・・。と、思ったら映司が箸を持った〜〜〜。
どうなる???どうする?????