奇跡
奇跡
出会いなんてほんの一瞬の奇跡のようなものだ。
だからアンクと出会ってオーズになったのも運命なのかもしれない。
偶然的必然・・・。
誰かと誰かがぶつかり、そして恋に落ち、結婚をし、子供を授かる。
人生とは、繰り返しの連続なのかもしれない。
そして偶然とは、神が作り出した必然なのだろう。
だからアンクと出会いオーズになったのは必然、すなわち俺のなるべくしてなった運命のひと駒の様なものだろう。
その運命というものは、どう転がっていくのだろうか?
ひとっこ一人いない夜の公園で俺たちは取り留めのない話を映司が一方的に話している。
が、それに答えてしまうアンクは結構いいやつなのかもしれない。
それも人によると思うが・・・・。
「あんく〜アンクの服なんで右だけいつもがらが違うの?」
「かっこいいから別にいいけどなんか気になるんだよね。」
「アンクの手が関係してるの?」
「連発銃みたいに話しかけるな!」
「俺の手がグリードだろ!だから服も変化するんだよ!わかったか!?」
「俺の変身みたいじゃん。一緒だね〜アンク。」
「おまえの変身と一緒にするな!!
映司、お前はコアメダルがないと変身できないが、俺はいつでも右腕の服を変えることができるんだよ!!
お前よりよっぽど高尚なんだよ。」
「話は変わるけど180度くらい、変わるけど、
アンク。アンクは人は欲望の塊だと言ってたよね?
でも人は欲がなければ生きていけない。欲があればこその人なんだ。
悪いことじゃないと思うんだよね。ただ少し行き過ぎるだけだよ。」
「だからその行き過ぎがヤミーを生み出すんだよ!学習をしろ!!」
「そうかもしれない。けど、その後をどうするかによると思うんだ、俺は。」
「ちっ。人間っーのはお前みたいにみんなそんなに利口なのか?」
「え?」
「皆が皆、自分の気持ちを整理できねぇ〜だろ。
お前みたいに欲のかけらもない人間が欲の塊の人間を語ってんじゃねぇ〜よ。」
「俺が欲のない人間?」
「そうだ。」
どこから調達したのか、アイスを頬張りながらアンクが頷く。
後でお金払いに行かなくちゃとうっすらと思いながら、俺は考えた。
「俺だって欲ぐらいあるよ。」
「ほぅ〜お前がか・・・どんな欲だ?」
「人を助けたいとかこれは秘密だったんだけど、言っちゃうよ?
覚悟しといてね!!
それは、アンクと両想いになりたいとかアンクのあられもない姿が見たいとか・・・」
「あっ!?」
「ふざけるな!!!寝言は寝て言え!お前の頭ん中は何か生えてるんじゃないか?」
「ヤミーに頭打ち付けてもらってこい!!」
「そんで、滝にでも打たれてその精神を無にして来い!!」
「袋田の滝なんてどうだ?すごいだろうよ!」
「アンク。無理に決まってるじゃないか。修行じゃなくて死にに行くようなもんだよ。」
「でも、おまえがいなくなるとグリード達を倒すやつがいなくなるなぁ」
「アンク、ちゃんと人の事、この世の事考えてくれてるんだね?」
「・・・・・違う!セルメダルやコアメダルが集められなくなるだけで、
考えてもいないし、心配もしていない。分かったか?」
「まぁ、照れちゃって。フフフフフ」
「俺はお前のこと本気で心配になってきたぞ。はぁ〜〜」
そういえば俺がオーズにならなければ、俺はあそこで死んでいたに違いない。
グリードというものは人が死んでも痛くも痒くもないのに、なぜ俺は救われ、オーズとなったのか?
何故か?アンクにその理由を無性に聞きたくなった。
そしてその答えが・・・
「映司、お前ならオーズとして、オーズの器として耐ええると、俺が瞬時に判断したからだ。」
「今日はやけに素直じゃん、アンク。」
「うるせっ」
「そんなに俺を買ってくれていたなんて初耳だよ。」
「言ってないからな!」
「一目惚れってやつでしょ?松田聖子がビビビビってきた、この人と結婚するんだって思ったやつ。だからアンクもアンクアンテナが作動して一目惚れ!!いわゆるねっ!」
「絶対に違う。映司、お前は何か大きな勘違いをしているぞ!!!」
「何言ってるのかさっぱり分からな〜い」
「分からないなら、身体で教えてやるまでだな。」
「あ〜〜超ー教えてほしいな?ちなみに俺は一目惚れだけどねっ。」
「いや、違うか!最初はアンクの手だけだったもんね〜。あれには吃驚したけどね。
だから好きになったのは、一方的な物言いするその声に惹かれたんだ。」
「俺はお前なんか大っ嫌いだ。人のことを最優先にするところなんか腹が立って
いてもたってもいられなくなる」
「それって告白?」
「大っ嫌いだと言ってる!!」
「それにヤミーにやられた傷が痛むと言っていたよな!!早く休め!このバカ!」
「くっちゃべってんじゃねぇ〜早く寝ろ!!」
「そして回復したらヤミーに頭でも殴られてこい!!」
「またそれ〜なんで〜?」
「うるさいっ!!俺は寝るっ!!!」
「アンクは俺のどこが好き?」
「・・・・・・」
「って今かんがえってたでしょ?やっぱり俺達両想いってやつ?」
アンクの手が俺の胸倉をつかんだ。
「冗談。冗談です。そんなことはありません。」
「分かればよし。早く寝ろよ!!」
「俺、その髪型すきなんだよねぇ〜」
「またか、知るか!お前の髪フェチなど!」
「でもアンクがその髪型してるから好きなのかも・・・」
「なに!?」
「今、何やら物騒なこと聞こえた気がするが」
「いや、本当!本当なんだってば!!」