赤ずきんちゃんとオオカミ1






赤ずきんちゃんとオオカミ 1   







ここは小さな小さな森の中。小鳥やウサギ、リスなどが平和に暮らす森なのだ。
クマがいるが心優しく調和のとれた森なのです。
その小さな小さな森のはずれにいつからあるのか分からない小屋がありました。



そこにはお母さんの知世子と映司あかずきんが住んでおりました。
映司あかずきんは動物たちととっても仲良しでした。
それは映司あかずきんの性格の賜物でしょう。
誰にでも優しく、紳士的で、よく気がつく。
そんな性格ならば女の子たちも黙ってません。



しかし、女の子の中で協定が組まれていて、抜けがけなどした日には
ボッコボッコだけでは済まないでしょう。



だからでしょうか?
映司あかずきんは自分はモテないと思い込んでいました。


経験はありますが、自分は淡泊なのだとも考えていました。
燃えないというかあまり立たないので女の子から振られるというケースが多かったのです。
映司は巷で言う一目ぼれというものに関心があった。

さあ、それは読んでからのお楽しみ。




ある日のことでした。

お母さんの知世子が映司あかずきんに
「森の奥にあるおばあちゃんの家に持って行ってもらいたいものがあるんだけど頼めるかしら?」

「うん。いいよ。」
「荷物はどれ?」


気軽に返事を返したそのあとに驚愕なものを見るとは予想もしていませんでした。


「そこの玄関の所にあるわよ?」

「え・・・?」
「この段ボールが山積みになっているやつ?」

「そうよ?」
「何か問題でも?ってこの前友達に会いに行ったら、フリマがやってってね!
そこでいっぱい買っちゃったのよ。」

「・・・・」

「見てみたいみたいね。」



“否、見なくても何となく分かるから”と言う言葉を飲み込んで一応中身を見てみる。


パカッ!!


“ゲッ”


「このフリルのついたワンピースなんか一押しなんだけどどう思う?」

「どうって言われても・・・」

「おばあちゃんああ見えてもあんたより若いのよ!知ってるでしょう?」
「まだピチピチギャルなんですからね!このくらい可愛いもんよ。」


ピチピチギャルって死語じゃないんですか?母上・・・



「今度はもっと露出度が高いのがいいわよね〜絶対そうよね〜」
「映司にも言ってなかったけどおばあちゃんあれで18歳よ。」



マジ?おばあちゃんじゃないじゃん。



「それは分かったとして・・・」
「ねぇ?母さんさすがに俺一人じゃこれ持ってげないよ。」

「分かったわ。じゃあ猟師の伊達さんと後藤君に持ってってもらうから。
心配しなくていいわよ。」


“否あの二人でも無理だから”といった日には、全部俺が運ぶ羽目になる。
だからそんな危ない橋は渡れません。ごめんなさい。伊達さん、後藤さん。


「本当に必要なものって何?」

「そうそう!今日窯で焼いた知世子特製クロワッサンとこれは買ったんだけど、
美味しそうだったから衝動買いしちゃった葡萄酒ね!」


うちの母さんは結構美人だからいいが、年取ったおばさんが知世子特製なんて言ったら引くかもしれない。


「このクロワッサンすごく美味しそうだねっ」

「しょうがないわね〜1個だけ味見ね」

「ありがとう」
「ほんとだ。すっごく美味しい。おばあちゃんも喜ぶだろうね。」

「だって知世子特製だから当たり前よ!だてにお店開いてないわよ。」




「っもうお店開ける時間だわ。危ないとこだったわ!」

「お店ってテーマが毎回違うけど、この間なんて忍者だと思ったら、江戸って。
お客さん大丈夫なの?どこかのお店に取られないの?」

「大丈夫なのよ。これが!意外と好評で口コミでくるお客さん多いんだから。」



「そうそう!」

「今度は何?」

「寄り道はダメよ?早く帰ってきてね!」

「は〜〜い」

「本当に一人で大丈夫?」

「大丈夫だって。もう何歳だと思ってるの?」

「わかったわ。」

「クロワッサンと葡萄酒はかごの中に入れておいたから、きちんと届けるのよ?」


「わかった。行ってきま〜す。あっずきんっ〜ずきん〜真っ赤なずきん〜」


ずきんとは映司あかずきんがお出かけするときに必ず着てゆく赤いフード付きのパーカーの事でした。